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 つぶや記 33
 映画『桜田門外ノ変』

 
テロリズム(テロル・テロ)とは、暴力手段に訴えて政治的敵対者を抹殺する行為で、幕末の江戸で発生した大老井伊直弼の暗殺は、日本史に特筆されるテロリズムです。この事件をあつかった東映映画『桜田門外ノ変』の試写会およびシンポジウムが福岡市であり、わたくしはパネリストとして参加しました。

 シンポジウムは、西南学院大学の講堂でひらかれ、ゲストに佐藤純彌監督、主演俳優大沢たかおさんも特別参加、学生と一般人約600人が会場にあふれました。この会場は最初、主催者がある国立大学に使用を申し入れたところ拒絶されたのだそうです。そのことが物語っているように、この映画はちょっとした問題性をはらんでいるわけで、ちかごろめずらしい日本映画です。戦時中、軍当局の目をぬすんで、きわどい反戦表現を成功させた田中絹代出演の『陸軍』があります。タブーに挑戦する映画人の心意気というものでしょう。
 地球上まるで日常茶飯事となったこんにちのテロ事件のニュースを、他人事(ひとごと)のように聞いているのは、無関心なのか、それとも危険から目をそむけているのか。
 古代から現代にいたるまで、テロは人類の宿痾(しゅくあ)のようなものです。日本じゅうを震撼させ、事後の政局を大旋回させた井伊直弼暗殺事件は、テロの中でも例外の実効を見せた事件でした。この非合法な殺戮を「正義」とし、無条件に讃美してよいのか。原作者吉村昭氏と佐藤純彌監督が、あえて現代に問う映画『桜田門外ノ変』です。東京の試写会には国会議員の一部、数十人の参加があったそうですが、感想を聴きたいものですね。       (古川 薫)

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