トップ > 名誉館長のつぶや記 > 名誉館長のつぶや記77 赤壁の賦、壇ノ浦を聴く

つぶや記 77
  赤壁の賦、壇ノ浦を聴く

   古くは平安時代の貴族が漢詩文から佳句を選び、曲をつけて朗誦する「朗詠」という遊びがあり、漢詩や和歌なども交えた『和漢朗詠集』(藤原公任撰)といった詩歌集なども遣っています。
近代になって、ヨーロッパあたりでしきりに朗読会がおこなわれ、現代にいたっても決して衰えてはいません。東京では近代文学館主催の朗読会が催されているようです。山口県内では山口市の朗読会が熱心につづけられていますし、下関には「詩を朗読する会」も早くから活動しています。
声に出して読むことで、快感を覚えるのは詩文だけでなく、散文でも同様ですが、とくに和歌・短歌など活字で黙読するだけでなく、名作とされる作品は朗々と音読するにも耐え得るものだということが、耳で聴いていて分かります。
   ふつう朗読会は作家が未発表の自作を、少数の人々の前で朗読する会をさしますが、同時に「聴衆」となって耳をかたむける人々もふくめた集会でもあるのです。
   8月25日、下関市民会館でひらかれる琵琶演奏者上原まりさんによる『三国志-赤壁の戦い・秋風五丈原』および『平家物語-祗園精舎・壇ノ浦』演奏の夕べは、待望久しき夢の実現です。
   『三国志』も『平家物語』も文字で読む場合は和漢混合の散文ですが、叙事詩として読み、かつ耳で聴くべきものです。
   宝塚のステージでマリー・アントワネットを演じた上原さんの美声を聴けば、正史三国志65巻を読んだと同じ質量の感動に心を揺さぶられるといえば大げさですが、とにかく三国志を琵琶曲で聴く機会は滅多にありません。ちなみに上原さんの『三国志』は本邦初演です。
                                                                          (古川 薫)

 

 

 

 

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