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  つぶや記 65
 薩長連

 九州新幹線の開通で、下関と鹿児島が超特急で直結された事もあって、「薩長連合」という4字熟語がしきりに目立ってきました。テレビ・ドラマ『龍馬伝』の影響も尾を曳いているのでしょうが、21世紀のこの時点で、薩長連合が具体的にどんな役割を果たすのかは、これからのお楽しみというところでしょう。
 当時、薩長関係の大きな特徴は、両藩が極度な対立関係にあり、その膠着状態の解消が新しいパワーをみちびき出したのです。つまり成り行きの展開をうながすのが、対立・矛盾の超越であることは、古今東西の歴史にみられる弁証法的現象です。たとえばお隣の中国でのかつての「国共合作」とは、国内での政権をめぐって抗争中の2大勢力が、話し合いによって一時休戦し、一致して日本軍事力に対抗した合理的行動です。
 さて、東日本大震災という国難を迎えているわが国の政界に、震災を奇貨とする国民不在の力学がただよっているとすれば、甚だ遺憾としなければなりません。中国嫌いの人には、耳障りなことばでしょうが、「国共合作」という言葉をつい思い出してしまうのです。そもそも政党が権力を追求する人々によって組織された政治結社であるかぎり、どのような状況下でも対抗政党の打倒をめざすその本質が発揮されるのは、一応当然としなければなりません。しかし与野党に限らず、国民の同意を得て、一定の権限を持つ地位を与えられているという政党の大前提からすれば、ある意味で私的結社であり、国家機構の一部ではあり得ない政党のエゴイズムは、戦争と同様の大震災という国難の前で、自ずからその行動は自己規制されるべきです。今はひたすら「薩長連合」でやってもらいたいですな。      (古川 薫)

 

 

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