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    つぶや記 37
   
山頭火とアンデルセン 

   こないだ川棚温泉での山頭火全国フォーラムで、わたくしは記念講演
を頼まれました。
 漂泊中の山頭火が川棚温泉にやってきたのは昭和7年5月のことでした。川棚の自然が気に入った山頭火は、妙青寺の寺領になっている畑の一隅に庵居することにして借地を申し入れたのです。約3ヵ月にわたり、関係者の間を奔走し、懇願するもついに許されませんでした。
 「川棚温泉よ、左様なら!川棚温泉のよいところも、わるいところも味わった。川棚の人間が『狡猾な田舎者』であることも知った。山もよい、温泉もわるくないけれど、人間がいけない!」(昭和7年8月27年の山頭火日記)
 山頭火が追われて78年経った今日、川棚温泉は、山頭火がかつて滞在した温泉であることを誇りとして観光宣伝に力を入れています。彼の切なる願いを容れなかった妙青寺境内には、滞在中に詠んだ「わいてあふれるなかにねてゐる」をを彫りこんだ巨大な句碑が建っています。
 川棚と山頭火の話となれば、どうしても土地の「古傷」にふれざるを得ない。企画者の中山淑子さんの「避けて通れないことでしょう」との言葉に力を得て、当日わたくしは山頭火日記を引きながら、率直にそのことを話しました。
 そして最後にコペンハーゲンのランド・マークになっている「人魚姫」のことを紹介しました。作者アンデルセンは、生まれ故郷では無視され、外国に渡って異郷をさすらう中から名作を生み出しました。川棚に限らず、世の中はそんなものですよ。「すみませんでした。しょく罪の意味をこめて、あなたの顕彰活動に励みます」-それでよいのではないですか。      (古川 薫) 
 


 

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