トップ > 名誉館長のつぶや記 > 名誉館長のつぶや記276 文選工とモノタイプ②

つぶや記 276
  文選工とモノタイプ②

  鉛を溶かして活字を作り、それを組み立てた文字盤を使って紙などに刷り込むのが印刷ですが、用が終わると印刷インクや油で汚れた文字盤を解体して、新しい印刷物のための準備をしなければなりません。おなじ物を作るための基本的な動作の繰り返しが大変な作業となります。
  その労働を節約するために、20世紀に入ってから発明されたのが、「モノタイプ」という新しい印刷機械でした。広辞苑は次のように説明しています。
  「キーボード・文字盤の操作によって1字ずつの活字を、自動的に鋳造植字する機械」
  この機械が発明されてから、1本1本指先を使って活字を拾う人間の労力は大幅に減少、従って人件費も節約され、印刷労働者の手間は驚くほど簡単になりました。
  油を使用する不潔な労働の改善、スピード・アップなど印刷文化の発展もふくめて人類における複写文化は革新的な進歩を遂げました。
  いつの間にか文選工の人数が半減していました。新しい職種の制服をまとった「モノタイプ室」勤務の女性従業員が颯爽とあらわれ、控室も別にされた以前からの文選工の不満が高まるのを見て、「これがリストラというものか」と気づいたのでした。やがて文選工という旧来からの印刷技術者(主として女性でした)が、印刷文化の世界から急激に姿を消していきました。
  これは文選のことだけではありません。産業界のすべてに津波のごとく押し寄せる第2次、第3次産業革命の旋風はますます猛威をふるうかに見えます。人工頭脳の発展は、もはや際限もない未来を招きよせようとしています。こうなると「人間不要」の時代がくるのではないか。ウカツに印刷のよもやま話もしておれなくなりました。
                                                                                   (古川 薫)

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