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つぶや記 215
  治山治水のこと

  大陸を流れる長大な河川は、ナイルやインダス、ユーフラテスなどその氾濫が平原を沃地とし、文明の起源となった大河の歴史が語られますが、流域で暮らす人間を苦しめる水害の歴史でもあるのです。
  2000年ばかり前の中国の『水経注(すいけいちゅう)』は、黄河水系にはじまり揚子江水系、江南諸水系の水路を追い、その流域の都城、古跡、山水、伝説を調べた地理書です。その中の「治水」とは「水をおさめ、害を除くこと。洪水や土砂崩れなどの水害が起こらないように河川を整備すること」で、古くから人は治水に努力してきたのです。
  同時に植林などを行って山を整備する「治山」も為政者の重要な仕事とされるのは、現代でも同様です。つまり今も昔も治山治水こそが政治の要諦とされてきました。国民の生命、財産を脅かすのは、武力による外敵の来襲だけではないのです。自然災害の危険はいつも身辺に迫っているのです。
  この夏、北関東・東北各地で河川の堤防が決壊し、未曾有の水害をもたらしました。100年、50年ぶりの豪雨ということで、あきらめ顔でこの天災が語られているようですが、果たしてそうなのか。人災の側面はないのかを、このさい徹底的に検証することも大事ではないかと思われます。
  日本治山治水協会なる特別法人の名を聞いたのは、30年以上前のことですが、その後とんと耳にしなくなったので、解散したのかと思っていました。こんどの水害でもこの組織の名は出てこないのですが、調べてみると日本治山治水協会は東京永田町に本拠をおいて活動しており、創立75年を迎えるそうです。
  わたくしたちが住んでいる山口県でも数年ごとに水害に襲われています。天災と諦めていはしないか。治山治水協会の支部でもあるのなら、今こそ出番ですぞ。検証と啓蒙の活動を期待します。
                                                                                  (古川 薫)

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