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つぶや記 116
  街を走る殺人兵器

   新幹線より運賃が安いといわれても、わたくしは長距離バスには乗らないことにしています。列車のほうが安定していて、本が楽に読めるからです。
   長距離バスに乗らない理由は、そんなものでしたが、最近のような大事故の発生を聞かされると、恐怖感という理由を加えることになります。
   海外ツアーに参加すると、いやおうなしに大型バスに乗り、しかも500キロ程度の長距離は普通のことになってしまいます。
   数年前、空港従業員のストによる欠航で、日程調節のため1000キロ超の距離を、夜通し突っ走るバスに乗る破目になり、今思うと背筋が寒くなります。想定外の労働で疲労困憊した運転手に、数十人が命をあずけるのですから、不吉なことを言ってしまいますが、全速力で走る巨大な棺桶みたいなもの。無事到着すれば命拾いしたことになります。
   バスだけではなく、これも最近連日のように発生する無謀運転の悲惨な事故は、車が街を走る殺人兵器のように思わせます。車に関わって生活している人たちには申し訳ありませんが、今のところそんな大げさなことも言いたくなるのです。
   地方で育ったわたくしなどの子供のころは、街を走る車はめずらしいくらいでしたが、それでも小学校同級生の一人が横丁から飛び出して車にひかれて死んでいます。車というものは人を殺す機械だなという恐怖感は、今もそのままです。はやく平和な文明の利器にしていただきたいものです。
                                                                          (古川 薫)

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