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 つぶや記 102
 綴方教室

 田中絹代と共演もしたことのある女優高峰秀子が子役で出演し、名作とされる『綴方教室』(昭和13年・東宝東京)という映画があります。東京下町の小学生が書いた26篇の作文(綴方)を映画化したものです。
 高峰秀子と同年代であるわたくしは、学校からの団体鑑賞で、この映画を見たのですが、あれはやはり当然、大人が見る映画であったことを、60年ばかりも後で再見して気付いたのでした。
 当時、生活綴方運動という一種の啓蒙活動がありました。国分一太郎(1912-85)という山形県生まれの教育者、児童文学者が、北日本国語教育連盟を結成、さらに日本綴方の会によって全国展開しました。子供の目で、貧しい家庭の生活を隠さず正直に書くという作文指導で、貧乏は政治の仕組みから生まれるもので、恥じることはないのだと教えました。東北の貧しい人々を励ますことにもなり、多くの日本人に共感をひろげました。その影響もあってのことか思想的な背景はともかくとして、わたくしたちの小学生時代は、週に一時間、「綴方」の必修科目がありました。子供の文章力をやしなう目的のこの国語教育の普及を、ありがたいことだったとこのごろ痛感しています。
 最近、テレビの国会中継で知ったのですが、震災関係の会議の議事録がないことを、野党から追及されています。根本の原因は、多くの日本人の文章力の欠如ではないかと思うのです。
 岩倉使節団の公式記録『米欧回覧実記』は、使節団員の一人久米邦武による名著ともいうべき報告です。ひとえに文章力によることですが、同時に自己の職務にたいする情熱のしからしむる成果でしょう。政治家も官僚も、一見を強くお奨めいたします。   (古川 薫)

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