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 つぶや記 50
 銀熊賞の笑み

 
小倉の松本清張記念館オープンの日、わたくしは少し遅れて式典に参列、人々の後ろに立って、祝辞など聴いていました。ふと、並んで立っている和服の女性に気付き、それとなく目をやりました。さほど脊は高くありませんが、なんと申しますか、大げさにいえば、からだ全体からオーラを発しているような感じでした。
 後で分かったのですが、その人は清張さん原作の映画に出演した女優だったのです。テレビでも何度か見たはずなのに、間近から横顔を見たのは、むろん初めてのことで、すぐには判断できなかったのです。
 女優であるという予備知識なしに、わたくしが観察したその存在感は、たしかに並みの人ではなく、やはり女優というのは、独自の「生き物」であるということ。それがわたくしの感想でありました。田中絹代と言う人も、そうした存在感を具有した女優だったのではないかと思いました。
 最近、下関で発行される俳雑「其桃」2月号で、田中絹代を詠んだ前田冨美さんの作品(連作)を見つけました。無断で紹介します。

 秋鏡女優絹代の翳曳けり
 秋暑し黄ばむ原稿崩れ落つ
 稲妻や演技派女優突っ走る
 銀熊賞笑みこぼしをり花芙蓉
 一徹に生きて輝く雲の峰
 蕎麦咲くや絹代の愛した海峡の町
 銀幕の女王遂に扇置く

 絹代ぶんか館で詠まれた句でしょう。「其桃」春秋賞の作品、抄出とありますから、あとのお作も見せていただきたいものです。    (古川 薫)

 

 

 

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