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つぶや記 259
  エ・アロール

   こんどフランスの大統領選挙では中道のエマニュエル・マクロン氏と極右の女性候補国民戦線のマリーヌ・ル・ペン女史の決戦となりました。
   極右と聞くとナチスなどを連想してしまいますが、反EU,移民排斥などを主張する政党だそうで、詳しいことは知る由もありませんが、あちらの国の女の人が金髪をふり乱して雄弁を奮っている姿を見ると、一度やらしてみたらよいなどと考え、ひそかに今様ジャンヌダルクの勝利宣言を期待する無責任な野次馬になりかねません。
   しかし穏健なマクロン氏が当選したと分かるや、正直に胸をなでおろすのも野次馬たる所以で、やはり大衆は真ん中が好きなようですな。
   さて新しくフランス国大統領になったマクロン氏についてメディアがやや騒いだのは、奥さんのブリジッドさんが夫のマクロンさんより25歳年上ということ、およびおふたりのロマンスについてでした。
   フランスでは歴代といってよいくらい大統領の愛人のことが新聞ダネになりました。有名な話では、ミッテラン大統領が、愛人のことを訊ねる記者に、「エ・アロール?(Et lors?)それがどうしたの?」と答えて相手を黙らせたそうです。
   パリ市長の愛人をモデルに書いたゴンクール賞(フランスの芥川賞のような文学賞)受賞作がありますが、そういうことに寛容なお国柄なんですね。日本なら「内閣総理大臣の愛人」となると、単なるエピソードでは済まず、大事件になるところでしょうか。
                                                                               (古川 薫)

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