つぶや記 ２３９
怪物が徘徊している
「ポケモンＧＯ」が世界じゅうで大流行、ひところは社会現象かと思ったりもしましたが、少しは静まったようです。
もともと老人には無縁の電子玩具（と訳してよいのか）が創りだした可愛らしいマンガの怪物ポケット・モンスターが、地球上いたるところに現れるという大げさなニュースに関心をそそられた瞬間、老人らしい連想が浮かびました。
１８４７年マルクスが起草したという『共産党宣言』の名文の一節です。その冒頭にいわく「一つの怪物がヨーロッパを徘徊している・・・・・・」
１７０年後のモンスターは、敏捷に飛び回る小さな仮想現実ですが、連想はヨーロッパから拡大されて「地球上を徘徊する怪物の幻影」です。
ところでアメリカの大統領選挙など、まったく無関係なのに今回に限って、ニュースに吸い寄せられてきました。これからどのような展開になるのか、１１月の決選まで外国の大統領選から目が離せないのです。
わたくしが強い関心を向けているのは、アメリカ国民がドナルド・トランプという男を大統領に選ぶのだろうかということです。
あるいはトランプという富豪に、アメリカ合衆国の未来を託そうとする有権者が５割を超すかもしれないという現実です。大声で叫ぶばかりのトランプ氏の演説から臭うのはしたたかな人種偏見であり、ナチスの「民族浄化」にも似た危険な思想です。
最近、日本では神奈川県下で大量虐殺事件が発生しました。その容疑者の薄笑いした顔ほど不気味なものを見たことがありません。ナチスはユダヤ民族を抹殺しようとしただけでなく、病者・老人を無用の存在として安楽死（オイタナジー）の名で抹殺しようとしました。
「モンスターＧＯ」に用心しましょう。そのためにもヒラリー・クリントン氏の勝利を祈らずにはおられません。
（古川 薫）
