トップ > 名誉館長のつぶや記 > 名誉館長のつぶや記7 長谷川修さんの『舞踏会の手帖』

つぶや記
長谷川修さんの『舞踏会の手帖』

   長谷川修さんとは、『真赤な兎』で芥川賞候補になられたころから、15年間の親しいおつきあいでした。
   酒はあまり飲まれませんでしたが、わたくしたちは、酒席での奇想に満ちた長谷川さんの話を聴くのが楽しみでした。
   亡くなられる直前の1979年(昭和54年)4月、中央病院の病室に見舞いにいきました。長谷川さんはガンにかかっておられたのですが、病床に立膝して、元気な声で対応してくれました。
  「こうしていると膝のあいだから、エネルギーのしずくがポタリポタリと落ちていくような気がするんだよ」
   いかにも長谷川さんらしいその述懐が記憶にこびりついています。最近、「季刊分科」43号に『舞踏会の手帖』が、名作再見として収録されているのを読みました。わたくしも大好な長谷川作品のひとつです。
   「昔の僕たちの恍惚を、憶えているかい?」このリフレインがあのころことを、望郷の思いのように呼び戻してくれました。いまさら下関が生んだ異能の作家の夭折が惜しまれてなりません。いずれぶんか館で長谷川修の世界展をやりましょう。
                                                                            (古川 薫)

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