名誉館長のつぶや記

名誉館長のつぶや記84 高春秋がんばる

つぶや記 84
  高春秋がんばる

   老人とは何歳ぐらいからをさすのでしょうか。老人クラブの入会資格は、これまでの常識からいって60歳を過ぎた人ということになるのでしょうが、そう言うと猛反発を食らいそうなこのごろであります。
   大正生まれのわたくしなどは、テレビを見ていて、20歳前後の男性が数人のグループを作ってなよなよと体をくねらせるようなダンスをしているのを、何となく苦々しく思うようでは、これを老人というのかなあなどと考えたりするんですが、その若者のクローズ・アップされた表情を見ると、なるほど柔和ないい男なんですね。かつての日本人にはなかったマスクです。女の子が騒ぐのも当然だと、急にものわかりよくなってしまうのは、もう少しみんなに蹤(つ)いて行きたいとひそかに願っているからであります。
   それにしても「老人」とは厭なことばですね。ためしに「類語辞典」をひいてみても、50歳から老人としており、「老いぼれ」「昔人」「足弱」などろくなものがない中にひとつおもしろいのがありました。「高春秋」というのです。「後期高齢者」よりずっとすばらしい。
最近、山口国体のニュースで、高春秋の活躍が目立つのはうれしいかぎりであります。59歳の大将がひきいる山口チームの剣道優勝、47歳の馬術優勝、おっと47歳は高春秋まで3年ありますが、このさいは仲間に入れておきましょう。天高く馬肥ゆる秋、がんばれ高春秋!
                                                                         (古川 薫)