名誉館長のつぶや記

名誉館長のつぶや記133 作文教室

つぶや記 133
  作文教室

   この夏、田中絹代ぶんか館で、小学生のための夏休み作文教室をやりました。3年生から5年生まで、約20人が参加、楽しい2日間でした。
   書くことが好きな子どもたちが集まったせいでもあるのか、小学生の筆力が予想以上だったのにはおどろきました。原稿用紙を使った書写もなかなかのもので、しっかりした字を書いています。『夢』という題を与えて、即席の作文に挑戦してもらいましたが、文章表現もまずまずです。中には1時間足らずで、400字詰め原稿用紙3枚にコント風の夢物語を書き上げた子もいました。
   小学生とは別に、大人のための作文教室も1日だけひらきました。やはり原稿用紙の使い方から始め、林芙美子の『放浪記』を書写しました。30人ばかりの受講者は、さすがにみごとな書きぶりでしたが、中には小学生にも劣る人がいて、これにもおどろきました。読み取れないクセ字を書く人が意外に多く、加齢とともにそれは固定してしまうものらしく、最近はワープロを使うので、たまに手書きすると、簡単な漢字が書けなくなったり、書写能力喪失症候群も散見しました。
   これは文章を書くより前に、字を書く基本の勉強からやり直す必要がありそうだと思ったりもしました。さらにこれはもう腹がたつというか、あきれてしまったのは、講師の話をまったく聞いてない人が数人いたことでした。
   原稿用紙の使い方は、レジュメに実例を示した上、ホワイト・ボード全面に、原稿用紙のマス目を書き、題名は2行目に、次の行に氏名、1行あけて本文を書き始め、改行1字アキ・・・・・・と、くどいほど説明しておいたのに、わざわざ用紙を裏返して勝手に書きなぐっているのです。
   あとになって気がつきました。不熱心なのでしょうか、いいえ、認知症なのかもしれません。腹を立てたり、あきれたりしてはいけないのだと、反省しきりです。いつか「ボケ防止文章教室」をやったらどうかと思いますが、受講者が集まるでしょうか。
                                                                         (古川 薫)