名誉館長のつぶや記

名誉館長のつぶや記51 映画のまち

つぶや記 51
  映画のまち

   第65回毎日映画コンクールの田中絹代賞授賞式に行ってきました。会場は川崎市の「ミューザ川崎シンフォニーホール」、すり鉢式の豪華なスタンドは1997席、映画上映設備も完備した羨ましい施設です。
   川崎は京浜工業地帯の核心として発展してきた都市ですが、本州西端に暮らすわたくしにとって麻生区に河上徹太郎先生が住んでおられたことか、川崎大師で有名な町くらいの知識しかありませんでした。こんどはじめて訪れたのですが、認識一変いたしました。工業都市の顔とは別に文化都市に塗り変わろうとしているのです。その文化の中心に据えられるのは映画であります。キャッチ・フレーズは
「映画のまち川崎」です。
   このごろ下関市も田中絹代ぶんか館の開館、盛んな映画祭、また地元出身の佐々部清監督、映画音楽の和田薫氏やグローカル・ピクチュアーズの前田登氏も色を添えて、「映画のまち下関」になろうとしています。
   しかし下関にはまだ無いシネ・コン3つを持つ川崎市の取り組みはもっとすごい。平成20年度から「映画のまち」を宣言、①小学校での映像制作。②日本映画大学と連携する取り組み。③高校生による映画館での映画鑑賞。④映像コンテンツ制作推進事業・・・・・・。
   以前から川崎市内にある専門学校、日本映画学校は、この春からわが国初の4年制映画大学としてスタートします。小学校統廃合にともなう空き地を利用して、校舎の改築、スタジオの建設も市の全面的協力で進んでいるようです。映画のまちづくり、果たして成果いかにーー。川崎市の話題できょうは終わりです。絹代賞をいただかれた江波杏子さんのことは、次回にまわします。  
                                                                         (古川 薫)