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つぶや記 97
   作家とふるさと

   昨年の暮れ、韓国の釜山文化財団主催の文学フォーラムに招かれ、行って参りました。わたくしが田中絹代ぶんか館名誉館長で、日本ペンクラブ所属の作家として著作活動をつづけていることからの出席要請であったようです。
   釜山市と下関市は地政学的には一衣帯水の位置にあり、姉妹都市契約を結んだ関係で、早くから交流がはじまっていますが、釜山という実質地域をふまえた文学フォーラムは、初めての試みです。
   あちらが用意したテーマは「文学と出版の海外進出に対する可能性を模索する先進事例発表」というのと、べつにセッション・プログラムとして「文学と故郷、地域文化のコンテンツとは」および「作家と文学館」というのでした。パネラーは韓国・中国・英国・日本の4か国から参加。会場を変え丸2日間におよぶ熱のこもった討論となりました。釜山の人口350万。われわれの目から見ればうらやましい人の数です。文化活動もさぞかし盛んであろうと思ったのですが、現状は意外でした。ソウルへの一極集中による地方文化の不振は、わたくしたちの抱えている東京一極集中の問題と似ています。
   休憩時間中、釜山文化財団代表理事・南松祐(Nam,Song Woo)氏とも歓談しましたが、これを契機にお互いの道をひらいて行こう、いずれ釜山か下関で再会しましょうということにしました。実現の機会を待つことにします。
   芸術文化にかぎらず、日韓交流は大事な命題です。領土問題など国家間の厄介な問題はありますが、民間外交による友好親善が解決への近道にもなるのではないか。2日間の文化交流でしたが、そのことを実感いたしました。  
                                                                            (古川 薫)

 

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