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つぶや記 271
  未確認飛行物体

  2015年(平成27)9月14日、ロシアのサンクトペテルブルグ市の上空にUFO(未確認飛行物体)の集団が現れたというニュースを週刊誌で見た記憶があります。ニュースといっても週刊誌のことですからうわさ話程度のことです。
  UFOについては、偽写真を作って世間をあっといわせる事件がこれまでも多くありましたから、ただちに信じる人は皆無といってよいでしょう。しかしアメリカでは、墜落したUFOの残骸や宇宙人の遺体を国家機密として秘蔵しているという話が、ずいぶん早くから広がっています。
  わたくしは以前、滝沢馬琴のことを書くときUFOの資料を漁りましたので、半信半疑ということで、未確認飛行物体に興味を持っています。先日、講演を頼まれ滝沢馬琴の『兎園小説』を題材に、いわゆる超常現象についていろいろ不思議な話をしました。『南総里見八犬伝』にも奇妙な話がつきものとなっていますが、わたくしがとくに興味をひかれたのは、やはり『兎園小説』です。
  これは馬琴のオリジナルな著書ではなく、当時の物書きが記録した奇書を集大成したもので、馬琴の息子の宗伯も「虚ろ舟」について常陸に現地調査しています。宗伯が入手した文書には皿を2枚かさねたUFOそっくりの図面も付いているのです。わたくしも宗伯の報告を参考にして北茨木市に出かけました。太平洋岸のいかにも宇宙人が漂着しそうなところで、詩人野口雨情のふるさとです。吉田松陰の足跡も遺っており、詩碑が建てられています。
  松陰の『東北遊日記』にUFOのことは出てきませんので、享和3年(1803)の話は、幕末に至り消えてしまっていたのでしょう。享和年代の当時、幕府が緘口令を敷いたので、そのまま村人が口を噤んでしまったのかもしれません。幕府はなぜ緘口令を敷いたのか。宇宙からの未確認飛行物体(UFO・虚ろ舟)が漂着したことが事実として伝えられると、この世の価値基準、幕府にとっては政治的権威が失墜しかねない。その畏れがあったにちがいないのです。
  この現代人の解釈は、近代国家のアメリカがUFOを国家機密にすることと矛盾することではありません。未確認飛行物体が地上あちこちの上空を飛び回るのを、単に超常現象と笑い飛ばすわけにもいかないのではー。
                                                                                (古川 薫)

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