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つぶや記 266
  不思議な一致

  やはり不思議だなあと考え込むことが、最近ありました。
  平成12年(2000)3月1日から翌年にかけて、山口新聞に『花も嵐も ー 女優田中絹代の生涯』という小説を連載しました。
  閉所した松竹蒲田撮影所を出発、38台の車列の先頭に田中絹代が乗り込んで、落成した豪華な大船撮影所に向かう情景をさし絵つきで書いています。
  大スター田中絹代全盛期のころです。松竹大船がオープンした昭和11年(1936)1月といえば2・26事件のひと月前のことで、田中絹代主演の『愛染かつら』などの大ヒットで松竹も最盛期を迎えますが、日本はそれから軍国の悲劇に迷いこんで行くことになります。
  さて、戦後の平成時代にわたくしが書いた田中絹代が、得意満面で大船撮影所に向かう場面が載った日の新聞には、意外な記事が載っていたのです。テレヴィジョンの普及で、映画界が凋落、半世紀の歴史にピリオドを打ち、大船撮影所の閉所式のことが小さく紙面に載っていたのです。偶然の一致とは不思議なことだとおどろきました。
  さて、もうひとつ新聞連載の不思議な話をします、じつはわたくしが昨年4月から毎日新聞(西部版)に連載を開始した『維新のあきびと 白石正一郎日記を読む』が、ようやく完結しました。
  最終回を書き上げて気づいたのですが、その稿が8月24日の掲載と分かり偶然の一致におどろきました。白石正一郎の命日8月31日の直前に終わったのです。
  『花も嵐も』や『白石正一郎日記』だけでなく、いくつかの新聞連載の執筆過程で不思議な偶然を味わっています。スイスの分析心理学者ユングによると、偶然は何らかの理由に裏付けられているというのです。偶然が偶然ではないとすれば何か、「もうやめておけ、それでいいのだ!」と、正一郎・ユング両先生が答えてくれたのかもしれません。
                                                                                (古川 薫)
  

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