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つぶや記 256
  核より怖い化学兵器

  わたくしが最後の兵隊として日本陸軍の兵士となったのは昭和20年(1945)3月でした。入隊直後に渡された九九式小銃・軍帽・鉄帽・軍服・帯剣など軍装の中に「被甲」という暗号めいた名称の兵器が混じっていました。
  茶色の袋に押しこみ、首につるして胸に抱くように構え、演習の時の「ヒコーキガトンデキタ」という空襲の喇叭信号がひびき渡るやいなや手早くそれを取り出し装着する「瓦斯マスク」です。
  「毒ガスにはホスゲン(窒息性)・アダムサイト(くしゃみ性)・塩化ピクリン(催涙性)・イペリット(糜爛性)などがある。イペリットにはリンゴが腐ったような芳香がある・・・・・・」など教えられたのを遠いむかしのことのように覚えているのですが、二十一世紀に入ったこんにちの新聞、テレビが毒ガスのことをでかでかと報じているのにはギョッとしました。
  シリア北西部の反政府勢力が支配する町で激しい空爆があり、70人余が死亡、米政府当局者が猛毒の神経ガスが使われたとの見解を示し、トランプ米大統領は「アサド政権による極悪な振る舞いだ」と述べ、4月7日午前9時(日本時間)地中海にいる米国駆逐艦2隻から巡航ミサイル59発を、シリア軍事基地にむけて撃ち込みました。
  かねてアサドは化学兵器を使っていないと否定し、アサド政権を支援しているロシアのプーチンも口をそろえて「アメリカによる侵略だ」と反対の声明を出しました。
  イギリス、フランスなどヨーロッパ各国は賛成し、日本は「米政府の決意を支持、トランプ大統領の関与を高く評価する」という安倍総理の声明を出しました。
  重大なこのもつれがどう展開されるかというところで、この稿を閉じなければなりませんが、恐ろしいことになりそうです。
  東アジアでは北朝鮮が日本海にむけて模擬核弾頭をひっきりなしに撃ち込んでいます。核は重いし金がかかる、安上がりの化学兵器でやられたのでは悲惨この上もない終末的悲劇となります。人類は至難の課題を詰め込んだ「被甲」を抱えて立ちすくんでいるのです。
                                                                               (古川 薫)

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