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つぶや記 253
  危険な話題

  このごろ夜明け近くまで深夜テレビを観るのがクセになってしまいました。懐かしい映画などよりはニュース番組、とくに論客による危険な時事評論が面白く、夜の更けるのも忘れて聞き惚れるわけであります。
  しかし面白いとひとくちに言っては不謹慎と叱られそうな内容も最近は多く、闇の中でイヤホーンを耳にあてがい、ひとり慎みながら聴き入るのが深夜番組の醍醐味でありましょう。
  戦前、わたくしなど少年時代のことですが、「ガダルカナル島撤退、この戦争負けるのではないか」「おい憲兵隊に捕まるぞ」と、あたりに気をくばりながら大人たちがひそひそ話するのを盗み聴きする"非国民的"楽しさを味わった記憶が残っています。
  数日前、これに似た深夜の対談を聴きました。
「北朝鮮は核弾頭を撃ちこむ順序をどう決めているのですかねえ」
「そりゃまず日本でしょう」
「いや違う・・・・・・」
  このような危険な会話が深夜の電波空間を駆け巡るとき、一流の月刊誌が大活字で『金正恩の核が東京を襲う日』と題し、「爆心地では70%の人が即死、20%が2ヶ月以内に死亡」とセンセーショナルな副題をつけた記事が載っているのです。
  書いた人はさすがに筆名を使っていますが、同じ筆名でいろいろな本を出しているようですから、愛読者も多いのでしょう。わたくしは立ち読みですが、アメリカのDTRAという新知識を教えられました。
  DTRAとは国防脅威削減局 Defense Threat Reduction Agencyの略称で、VXガスといった化学兵器、天然痘ウイルスなどの生物兵器及び核爆弾など大量破壊兵器による攻撃から、米国と同盟国を守るための防衛部局です。
  しかし究極の目的は、大量破壊兵器による攻撃を受けたあと、国家を存続させるための方策を立てる任務を負っているというのです。核弾頭の投下を防ぐだけではなく、投下されたあと、つまり核戦争後、人類の生存を描いたSF映画も作られていますが、すでにSFの世界を超えた問題となっているのです。北朝鮮の核兵器が注目される現在、それ以上最も恐ろしい生物兵器も貯蔵しているらしいのです。DTRA研究が喫緊の課題となっているという危険な話題です。
                                                                               (古川 薫)

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