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つぶや記 250
   淀君がんばれ

   NHK大河ドラマ『真田丸』に登場した淀君の面影が、まだ記憶に新しい女傑の印象です。日本史に名を遺している女傑といえば、古くは「男なら・・・・・・まさかのときには締め襷、神功皇后さんの雄々しき姿が鏡じゃないかいな」と歌われる仲哀天皇の奥方が、わが下関の郷土史におわします。
   「尼将軍」といわれた源頼朝の妻北条政子、応仁の乱の悪役日野富子(室町幕府八代将軍足利義政の妻)をはじめ女傑は十指に余るほど挙げられます。
   ただ関ヶ原の役以後、江戸時代に入ってから現代にいたるまで、歴史を賑わした女傑はいません。女傑は乱世にかぎって出現する優勢種なのでしょう。20世紀に入って、「鉄の女」の異名をとった英国のサッチャー首相があらわれて以後、男に代わる女の大統領が登場するのがめずらしくなくなりました。新しい戦乱の時代到来の社会現象でしょうか。
   アメリカにもいよいよ女性大統領の登場かと思っていたら、ドナルド・トランプという巨漢が、ヒラリー・クリントンという女性候補を押しのけて大統領になりました。
   日本ではやや小型になりますが、小池百合子というジャンヌ・ダルクが注目を集めています。彼女と立花隆氏との対談を文藝春秋誌上で読みましたが、カイロ大学卒という学歴も面白いと思いましたね。
   有名大学を出て、官僚になり政界に横滑りする立身コースをたどるのはすべからく男世界の平凡な生きざまといえます。広大な砂漠にそそり建つピラミッドを見上げる学舎に、未来をさぐるというのは女性ならではのロマンです。
   さてその後、新聞報道によると、豊洲市場の土地購入を巡る住民訴訟に関し、購入当時の都知事だった石原慎太郎氏に賠償責任はないとしていたこれまでの都の方針を見直すと小池知事が表明したのには大勢の人々が拍手をおくりました。
   都知事時代の石原氏がヨーロッパに大名旅行したのを批判した者がいなかったのは不思議なことでしたが、傍若無人な振る舞いに恐れをなす臆病者と違って、非理を糺そうとする毅然とした小池さんの姿勢をすがすがしいと思います。選挙中の候補者に「厚化粧の女」などと野次を飛ばした無礼者は、これにどう応えるかが見ものです。
                                                                               (古川 薫)

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