トップ > 名誉館長のつぶや記 > 名誉館長のつぶや記247 巨大な海底の棺アリゾナ

つぶや記 247
   巨大な海底の棺アリゾナ

   日米開戦から約70年後の1991(平成3)年の12月8日、わたくしがハワイに行ったのは、わざわざその日を選んだのではなく、誘われてホノルル・マラソンに参加するためでした。
   ハワイの土を踏んだ瞬間、日本軍の真珠湾急襲の記念日だったことを、いやというほど思い知ったのはアメリカ本土からの旅行団を見たときでした。それが「アリゾナ記念館」に礼拝する慰霊団だと聞かされて、12月8日(7日)を迎える日本人とアメリカ人との違いに気付くと同時に、粛然とした気持ちになり、アリゾナ記念館参りを日程に加えました。
   アリゾナ記念館とは、ゼロ戦の群れに撃沈された米海軍の戦艦アリゾナ号を記念して建てられた霊廟です。1950年代、アメリカでは沈没したアリゾナ号のすべてを廃棄処分することになったそうです。アリゾナ号の乗組員1177名のうち1102名が艦と運命を共にして、そのままが巨大な棺となり真珠湾の海底に眠っているのです。戦後5年のころすでにアリゾナ号を廃棄しようとは悲しい話です。しかし時の大統領アイゼンハワー(第2次大戦の英雄)が、これを黙ってみているはずはなく、アリゾナの記念碑建設となったのです。総工費50万ドルのうち政府の助成金20万ドル、あと30万ドルは民間寄付でまかなわれました。日本人で最初に上院議員となったハワイ州のダニエル・イノウエも大口寄付のひとり、歌手プレスリーも寄付しています。
   さてこのたびアリゾナ記念館に参拝した安倍晋三総理大臣の感慨やいかに。わたくしがアリゾナ記念館に参拝して帰りのバスに乗ったとき、向かい合った席のアメリカ人からひどく睨みつけられたことが忘れられません。今もそんなアメリカ人がいて、安倍首相に憎しみの視線をむけることはないでしょう。
  オバマ大統領も来日して原爆被災者の霊に礼拝しました。互いに永遠の平和を祈るよき時代になったと思うことにします。
                                                                               (古川 薫)

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