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つぶや記 232
  恨めしい雨

   去年もそうでしたが、ことしも先帝祭は雨でした。悔しいのは祭りの前日は日本晴れ、その日は大雨、翌日はカンカン照りというなんとも皮肉な天候です。天の配剤とか言いますが、人間たちにベソをかかして悦に入っている意地悪なカミサマがいるみたいです。
   「関の先帝、小倉の祇園、雨が降らなきゃ金が降る」と、タクシーの運転手さんが市民の立場で嘆いてみせました。いつごろから言ったのでしょうか、もうずいぶん昔から言い続けてきたようですが、晴れたときにはあまり口にしないので、これはやはり " 恨み節 " ですね。
   このごろは「マーフィーの法則」を引いて、無情の雨を呪うのですが、熊本地震の雨はたしかに呪うべき天候です。「泣き面に蜂」など言うも愚かであります。
   運動会もよく雨にたたられます。わざわざ雨の日を選んだような悪天候の行事が当然のように、人間社会の恒例になったかの感があります。
   わたくしは6月5日が誕生日で、西日本では節句が月遅れとなるので、毎年その日に小学校では端午運動会が催されました。家では大きな鯉のぼりを泳がせてもらいました。晴れがましい思いで古くなってくたびれた鯉のぼりを見上げたものでした。それに端午運動会が雨で流れたという記憶がありません。
   にもかかわらず、わたくしは雨男で、自分に関わる日はたいていマーフィーの法則です。しかし雨はありがたい天の恵みでもあるのですから、恨んでばかりいてはいけないでしょう。無情の雨に見舞われることが避けられないものと最初から覚悟して対策を立てることも大事じゃないですか。先帝祭など準備に半年近くもかけるのですから、晴れの日を待って再行というわけにはいかないのでしょうか。現実の問題としてそれが無理なことは承知の上で、なんとかいい知恵はないものかと、ことしも雨空をながめながら痛切に思ったしだいです。
                                                                              (古川 薫)

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