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つぶや記 193
経済学者の予言

  古い話ですが1929年10月、「フィッシャー方程式」で知られるイェール大学のアービング・フィッシャー教授が「今の株価は恒久的に高い高原のようなものに到達した」と公言して間もなくの10月24日、ウォール街大暴落、"暗黒の木曜日"となり、世界恐慌が地球をつつんでしまうのです。
  経済など大学の一般教養講座で「経済原論」を受講しただけのズブの素人のわたくしが、かねがね「不況克服といっても経済学など何のやくにも立たない」と主張しているのは、この"暗黒の木曜日"のことを知ってからです。
  かぎりなく人間を救ってきた医学にくらべて、経済学は後追いの経済史でしかない。敢えていえば「人間の学」ではないのです。
  "暗黒の木曜日"の1929年は、昭和4年にあたります。世界恐慌のあおりを食っている当時の日本に現れた救世主は高橋是清という財政家・政治家でした。蔵相として金融恐慌・昭和恐慌を処理したことで知られています。日本銀行下関支店の初代支店長としても活躍しました。
  高橋是清のことを「日本のケインズ」と呼ぶ人がいます。ケインズの経済理論によって、デフレ不況を乗り切ったというのですが、果たしてそうでしょうか。不況対策としても知られるケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論」が発表されたのは1936年(昭和11年)です。その年、起こった22・6事件で、高橋は暗殺されています。
  おそらく彼はケインズのケの字も知らなかったのではないでしょうか。つまり高橋の財政手法は経済学者に学んだのではなく日銀総裁その他の経験を踏まえた、いわば財政家・政治家としての"勘"によって導き出されたに違いありません。
  アベノミクスが高橋是清の手法に似ていることから、これをケインズに結びつけるのもどうでしょうか。ケインズは「不況対策としての金融政策は無効、それより直接的な刺激策として財政投資のほうが有効である」といっています。
  高橋是清は不況対策としてケインズがしめした禁じ手の金融対策を、大胆に進めています。不況克服は、事物の本質を鋭くつかむ為政者の第六感に頼るほかはないというのが、これまでの経験則によって言えるのですが・・・・・・。
  さて、アベノミクスはどうでしょうか。国民の判断がどう出るか。これまでにない結果をもとめるこのたびの総選挙です。投票は民主主義国の国民の義務であります。 
                                                                                  (古川 薫)

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