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つぶや記 185
無断欠席

  田中絹代ぶんか館恒例の夏休み作文教室がひらかれた日は、台風接近で薄曇りの午前中でした。直撃の恐れはなかったのですが、予約していた14人のうち、ほぼ半数の6人が欠席というのにはおどろきました。うち1人は電話でその旨の通知があったそうですから、5人の集団無断欠席です。相手は小学生といっても、ただごとではないと憂うつになりました。
  わたくしなどは老来、物忘れがひどく、会合に欠席したり、遅れたりすることがありますので、えらそうなことは言えませんが、天気のぐあいをみて、約束をやぶるようなことは決していたしません。大事な会合は前日の電話をお願いすることもあります。
  さてこの日は『耳なし芳一』の紙芝居を子どもたちに見せ、その感想文を書いてもらうつもりで、専門家にお願いし道具立てなど用意万端整えて、当日を迎えたのです。
  たかが小さな文化施設のささやかな行事じゃないか、怒られることもないだろう、天気もはっきりしないし、なんだか気がはずまないからやめとこうということだったのでしょう。
  紙芝居は海峡座の劇団員、佐々木清司さんが昔風な衣装を身にまとって、8人を相手に熱演されました。子どもたちも熱心な拍手をおくり、作文もなかなか上出来でした。
  わたくしはそれぞれの文章を添削し、ワープロをつかって小さな文集を編み、次の週はそれをテキストにして文章の勉強をしました。こんなことは、人数が少なかったのでできたことです。
  ところでその日、作文を書き終わった人は、それを提出して順次帰ってもよいことにしたのです。7人が帰ったあと、1人だけ残って書き続けているのは小学校4年生の女の子でした。あと20分、時計を見ながら懸命に書いている姿は、微笑ましくも感動的でした。瞬間、大量の無断欠席で暗雲たれこめていたわたくしの気持ちは、いっぺんに晴れあがりました。一生懸命は美しきかな。
                                                                              (古川 薫)

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