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つぶや記 184
領事館赤レンガの栄光

   下関市唐戸の旧英国領事館がリニューアル・オープンとなりました。国内に遺る領事館建物としては最古のもので、国の重要文化財に指定されています。
   オープンにはイギリス大使館からジュリア・ロングボトム駐日英国臨時大使も出席されて、はなやかな式典があり、唐戸はユニオンジャックがひるがえる異国風のページェントでにぎわいました。
   前日、大使歓迎の祝宴の席上、わたくしは命じられて大要つぎのような祝辞をのべました。
   ―幕末、イギリス公使館の通訳官、のち駐日公使になる人ですが、アーネスト・サトウさんは、攘夷戦の講話談判で連合国側通訳として下関を訪れて以来、下関と深い関わりのある外国使臣でした。
  攘夷戦は連合艦隊17隻で下関を襲ったのですが、イギリスは9隻を投入する最大勢力でした。長州藩は関門海峡でイギリスの艦船に1発も砲撃をくわえていないのですから、不条理な話でした。しかしとにかく講和後、イギリスと長州藩は急速に親善を深めました。明治維新はイギリスの薩長支援が大きな力として働いたことを忘れられません。
   その間、アーネスト・サトウさんの活躍がめざましいものであったことがよく知られています。下関に領事館をおくようになったのもサトウさんの推薦によるものだと伝えられています。もっともサトウさんの推薦によらずとも、地政学的にも下関の存在はだれもが認めるところでした。
   領事館建物は下関の輝かしい歴史を象徴する栄光の建物であり、わが郷土のランドマークでした。こんにちもそれでありつづけるのですが、われわれは単にノスタルジアを楽しむだけでなく、下関の発展をはげましてくれる新しいランドマークとして大事に保存していきたいものです。これをご縁に日英友好親善がさらに深まることを祈念します。
   さてこれまでと違って、レストラン経営、夜はパブにもなるそうです。お堅い文化庁としてはイキなはからいをしてくれました。せっかくの文化施設を活用したいものです。
                                                                             (古川 薫)

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