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つぶや記 172
  成人の着飾り賛成

   成人式を1月の成人の日を避けて、夏にする自治体もあるようです。建国記念日にあわせて、2月11日にするというのはうなずけますが、夏にするという理由を聞いて首をかしげました。
   学校が夏休みになって集まるのにつごうがよいという表向きの理由のほかに、真夏ならあれこれ着飾ることもできないので、浪費せずに済むというのは、主として女性の側の問題のようです。
   成人式の着飾りは年々派手になってゆきます。ことし福岡市では、花魁(おいらん)の姿に扮した人が目をひきました。花魁は江戸時代の娼婦ですから、眉をひそめる高齢者もいたようですが、下関先帝祭の上臈道中は、実際には上臈ではなくて、むかしの京都島原の花魁道中を真似たものです。売春防止法制定いらい上臈道中と呼んでいるわけですが、別に異論はなく市民権が与えられています。
   「綺羅を飾る」という和服の伝統的な美しさを象徴するあでやかな姿に寛容な視線をむけ、いまわしい風俗の過去は忘却のかなたに消し去られているのです。
   それでいいのだ! 花魁の扮装を楽しんでいる新成人の娘さんたちにメクジラを立てることはありません。だいたい成人式を夏にまわすという発想じたいがイジマシク、可笑しいのであります。
   人間、一生のうちに晴れ着をきる機会は何度あるのでしょう。さしあたっては、結婚式と成人式、あと数回あるかなしです。しかも青春たけなわのとき、1日思い切り美しく装った記憶を刻んでおくのはすばらしいことではありませんか。いのち短し、飾れよ乙女・・・・雪の日の綺羅を飾った新成人の道中絵巻大賛成です。
   そんなのは嫌だと、堂々と油汚れの作業衣姿で参列する新成人がいたら、その彼氏彼女にも熱烈感動の拍手を贈りましょう。
                                                                             (古川 薫)

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