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つぶや記 167
海峡にかける橋

 関門橋が開通40周年を迎えました。茫々40年の感懐がわたくしにはあります。架橋工事の初期、本体の橋桁を吊るためのキャット・ウォークを渡る機会を得て、両岸に立つ橋脚の頂上140メートルから、文字通り猫が這うような身振りで海峡上空を遊歩したのを、きのうのことのように記憶しています。
 いつか小月の航空自衛隊の練習機メンターに試乗したとき、希望して関門海峡上空を飛んでもらい、急降下して巌流島を眼下におさめ、さらに海峡東半分の全景をみたことはありますが、それとは違う身近な海峡上空のながめに感動しました。
 関門橋が完成して残念だったのは、この橋に人道が設けられていないことでした。管理に余分の手間がかかるという単純な理由でしたが、その後、本四架橋でそれが付属しているのを知ると、当時の関門両市の行政を担当していた人々の迂闊さを責めたくもなります。強い希望を公団に突き付けるべきでした。特に下関市にとっては通過都市化を進める加害的存在の関門橋が、せめて景観だけでない魅力を添える観光資源になったはずです。
 開通40周年を迎えたこんにち第二関門橋の構想が具体化してきています。橋の存在を通過都市化への相乗と見る観念は、すでに消えています。橋は単に対岸に渡るためでなく、周辺都市との時間距離をちぢめる近代的交通手段としての道路施設であり、それによるメリットをも認識されてきたからです。
 ではこんどこそシースルーの人道を付けてくださいと要望したいのですが、橋よりトンネルがよいとの意見もあるとか。掘削技術が進み、かつての関門国道トンネルにくらべると、工事費は半減に近いといいます。かくて第二関門橋は夢に終わりそうな気配があり、キャット・ウォークからの眺望再現が望み薄とは残念でなりません。
                                     (古川 薫)

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