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つぶや記 162
  東京五輪

   オリンピックの東京招致が決まりました。56年ぶりですから、その当時のことを記憶している人は、すでに老齢に達しているわけです。わたくしなどはそのとき39歳で、初登場のカラーテレビの画面もふくめて、昭和39年(1964)第18回夏期オリンピック「東京五輪景気」に沸く世のさまを記憶に刻みつけています。
   前のときはテレビ観戦でした。こんどはナマの棒高跳びを見たいと思っていますが、これから7年先、東京オリンピックの平成32年、この世に生存しているかどうか。それが問題じゃ。
   21世紀に足を踏み入れ、東京五輪までも観戦できればもう思い遺すことはないと、こんなことを言うとオリンピックなどに浮かれ騒いでいる場合かと白けた人たちから笑われそうです。しかしこの巨大な消費、無駄づかいも、戦争の虚しい浪費にくらべればたいへん結構なことではありませんか。
   会場から遠く離れた土地に暮らしている者にとって、無関心の立場では、対岸の騒ぎでしかないお祭りですが、五輪期間中の何となく明るく楽しい雰囲気は悪くないと、前のときも感じましたから、こんどもきっとそうだろうと思います。ましてこんなご時世です。テレビにかじりついて超人たちの活躍を凝視するひとときがあってもよいでしょう。
   7年先を待つ間に心配なことは山ほどあります。五輪となればエコノミック・アニマルの出動期、バルセロナ・オリンピックのころスペインを旅した人から聞きましたが、ホテル代が3倍近く跳ね上がったのには往生したそうです。マドリードに決まっていたら、またそんなことになるんじゃないかと、ついそんなことを考えてしまいましたが、日本でそのような現象が起きないようにと祈るばかり。これは老婆心であります。
   五輪といえば宮本武蔵に『五輪の書』があります。「智は有也。利は有也。道は有也。心は空也」。今、招致成功に空中で小躍りしているジパング・エコノミストのサムライやナデシコさんを信じていますよ。
                                                                           (古川 薫)


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