トップ > 名誉館長のつぶや記 > 名誉館長のつぶや記251 半永久的中古トンネル

つぶや記 251
   半永久的中古トンネル

   ニューヨークに行ったのは半世紀も前のことですが、街路のあちこちで水蒸気が噴き上げているのにはおどろきました。地下に埋められたパイプが腐食したためだということでしたが、その後どうなっているのでしょうか。
   都市も数十年以上経つと、いたるところにほころびがのぞきはじめるのは仕方がないことでしょう。最近、博多駅前の街路30メートル四方が陥没しました。
   信号機が穴に吸い込まれる瞬間を撮ったテレビ画面に、「あっ!」という驚愕の声が入っていたのもめずらしいことでした。フィクション映画ではよく観る光景ですが、現実にこんな事故があり得るのかと、わが目を疑いました。
   どんな理由でそうなったかはわからないそうですが、修復できて通行が始まって間もなく、同じ箇所でまた7センチばかり陥没しています。工事関係者は「想定内の陥没」と言っているそうですが、どうも怪しい。そんな言い訳をせず徹底的に原因を究明してもらいたいものですね。
   21世紀に入って、戦後建てられたビルのほとんどは取り壊されました。地上の"中古品ビル"は姿を消しましたが、地下に埋められた構造物はそのまま残っているものが多く、地下からの視線で観察するかぎり、わたくしたちの住んでいる街は、街路から水蒸気を噴き上げるニューヨークと同じ"中古品都市"と言えます。
   わたくしが少し心配しているのは、関門トンネルです。国道トンネルは開通後約60年、鉄道トンネルのほうは86年です。大丈夫でしょうか。このことをJRの関係者に一度たずねてみました。「大丈夫!」との返事でした。海底の"半永久的中古トンネル"などといって心配しているのはわたくしだけでしょうか。
                                                                               (古川 薫)

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