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つぶや記 142
  活字文化

  先日、毎日新聞西部本社の印刷90周年を記念する祝賀会が北九州市でひらかれ、招かれて行ってきました。大正11年(1922)11月1日、当時の門司市にあった同紙関門支局の印刷工場で、本紙付録の「西部毎日」を印刷発行したのが始まりです。
   活字を使った印刷が、ドイツ人グーテンベルクにより1445年に始まったことはよく知られています。文書を短時間に多数作成、配布することを可能にした印刷機と人類との長いつきあいですが、手刷りによる初歩的な印刷が、355年間もつづいたとは、科学技術の進歩の速度を見ているわたくしたちには、意外というほかはありません。
   産業革命最中の1800年、イギリスでレバーとねじの運動を組み合わせた鉄製印刷機が発明されてから、印刷の機械化が始まりました。以後印刷術の進歩はめざましく、凸版はオフセットとなり、高速輪転機によってまさに天文学的数字にのぼる大量の印刷物を世に送り出しました。いわゆる活字文化の世紀を現出したのですが、やがて電子技術の発達による新しい表現媒体の電子書籍、電子新聞の時代にさしかかろうとしています。
   活字印刷を最大限利用したのは新聞で、書籍がそれに次ぎましょう。わたくしなども活字のおかげで生活してきたのですが、言われている"活字離れ"にさほど不安は感じていません。
「活字」とは、印刷の字型が繰り返し使える活きものという意味です。ここで言う活字印刷とは、活字にインクをつけて紙に刷る本来のかたちを多様に変化させた印刷であって、指先のタッチですぐ消える電子の影は、活字ではありません。紙を使う活字文化は、人類と共にいつまでも活きつづけるでしょう。活字は永遠に不滅です。
                                                                              (古川 薫)

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