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つぶや記 123
  映画たけなわ

   カンヌ国際映画祭は、フランス政府の援助で1946年(昭和21年)から始まりました。われらの名女優田中絹代は、1975年(昭和50年)『サンダカン八番娼館・望郷』でベルリン国際映画祭の最優秀賞を受賞しています。
   ところでカンヌ国際映画祭の開催が始まった昭和21年といえば、それは長い戦乱が終わった翌年のことで、映画というものがほんとうに平和な時代を謳歌する映像芸術として再出発する決意を秘めたお祭りだったのです。
   しかしヴェニス(ヴェネチア)国際映画祭は1932年(昭和7年)、映画全盛期から始まっており、4年後には独裁者ムッソリーニ賞なども設定される暗い歴史もあります。アメリカでアカデミー賞が始まったのはもっと早く1928年(昭和3年)でした。
   そこで日本に映画祭らしきものが現れたのは、いつだったか。第2次大戦後の昭和21年、つまりカンヌの国際映画祭と同時に出発したのが、毎日映画コンクールです。田中絹代賞が加えられたのは、昭和60年でした。
   その後、国内で映画祭が盛んとなったのは、テレビに押されて斜陽の色合が出てきた昭和30年以後のことです。劇場に出かけて、入場料を払って映画を観るということが、特別の行為になってから久しく、それは映画の娯楽性が大きく変わったことを意味しています。
   "古きよき時代"の傑作を観るだけの回顧趣味的な映画祭は次第に影をひそめてきました。まだその名残があるのは、それもよしとしなければなりませんが、新しい映像芸術としての映画に、どんな思いを寄せてゆくか。映画ファンの情熱がこもった文字通りの祭りであってほしいと、わたくしたちオールド映画ファンも望んでいます。
                                                                          (古川 薫)

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