トップ > 名誉館長のつぶや記 > 名誉館長のつぶや記121 鮫島さんの下関公演

つぶや記 121
  鮫島さんの下関公演

   鮫島有美子さんのソプラノ・リサイタルが下関市生涯学習プラザで催されたので、久しぶりに聴かせていただきました。
   この前は山口市でしたので数年ぶりですが、それ以前、拙作『漂泊者のアリア』が、音楽劇としてNHKホールをはじめ大阪・福岡・名古屋で上演されたとき、鮫島有美子さんは藤原義江(沢田研二)の相手役、砂原美智子を演じられました。
   わたくしは自作が原作ということもありますが、鮫島さんの追っかけよろしく、東京・大阪・名古屋各会場を駆け歩いて、美声に聴きほれたものでしたが、こんどの下関ステージも、その声量、その美貌はまったくあのころのままで、かつてのモ・ガ風-こういう表現しか知らないので-に刈り上げたヘアスタイルが、以前より若がえった風姿に見えました。
   むかし砂原美智子が、厚狭高女で歌ったとき、厚狭の火薬会社の偉い人が酒に酔って野次をとばし、彼女を立ち往生させたことがありました。楽屋で泣き崩れる砂原を、藤原義江がなぐさめる場面を描いたことを、なぜか思い出しました。
   うれしかったのは鮫島さんが、下関市は藤原義江のふるさとであることを、しっかり覚えておいでだったこと、そして義江が浅草オペラで歌った唄をはじめ、彼にちなむ歌曲を曲目にアレンジしていただいたことでした。
   鮫島さんの『荒城の月』がしずかに響きわたるとき、会場のどこかに佇んで耳をかたむけながら、望郷の思いにひたっている藤原義江の姿をたしかに見た思いがあります。BRAVO!鮫島有美子さん。
                                                                        (古川 薫)

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