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つぶや記 114
五月晴れ

 5月になりました。
 大震災に追い討ちをかけるような大雪や大雨など異常気象を思わせる日がつづきましたが、5月を迎えると、長く暗いトンネルを抜け出たという開放感を覚えます。
 わが家のそばの小公園にそびえる八重桜が、五月晴れの空を背景に、満開の花を咲かせていますが、この前の強風に祟られて、爛漫の感じがいまいち冴えないのが残念です。
 広辞苑には「五月晴れ」を「①さみだれの晴れ間。梅雨の晴れ間。②5月の空の晴れわたること。また、その晴れわたった空」とあります。
 旧暦でいう五月晴れと、現代人の言うそれとの季節感のズレはありますが、とにかく源平合戦は旧暦3月24日、巌流島の決闘は4月13日、いずれもグレゴリオ暦になおすと5月、つまりこのごろのリアル・タイムで、その模様を想像するわけです。
 今は風化した錦絵の世界での物語ですが、その日が晴れていれば美しく晴れ渡った空の下で、悲惨な殺戮が展開された事実は遺ります。雪とか、雨の日であるよりも、輝く日の下での人間の流血の行為が、ことさら残酷な場面に感じられてなりません。歴史はこのように非情に皮肉に積み重ねられてきたのだとの感懐を覚えることがあります。
 源平合戦の「紅白」、また武蔵・小次郎の「巌流島」になぞらえる日本人の対決思想が、関門海峡にその淵源を発しているということに気づくのも5月のこのごろです。
                                 (古川 薫)

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